●理由づけ(Rationalizing)
ロジックや事実、推論などを用いて、自分の考えを示す。他者を説得するために、自分が持つ事実やロジック、専門知識、経験などを活用する。
●主張(Asserting)
個人的な自信、基準、規範、権限に依拠して影響力を行使する。反対意見に遭遇した場合に、自分の意見が相手の耳に届き検討を促したかどうかにこだわる。自分の考えに相手が同意しない場合、相手の考えに異議を唱える。自分の見解を理解してもらうために、討論をしたり、プレッシャーをかけたりする。
●交渉(Negotiating)
より高次の目標の達成につながる結果を出すためならば、妥協点を探り、譲歩もする。そのためにトレードオフや取引も受け入れる。必要なら、適切な時期が来るまで議論を延期する。
●鼓舞(Inspiring)
共通の使命感や、有望な可能性を示すことで、他者を自分に同調させる。共通の目的意識を高めるために、心を動かすような訴えやストーリー、比喩を用いる。
●関係づくり(Bridging)
他者との団結や関係構築によって、結果に影響を及ぼそうとする。賛同を得るために、相互依存の関係を築き、特別な支援を取り付け、協議し、連携し、個人的な人間関係を利用する。
あなたの影響力のスタイルについて、上記の自己診断の結果をふまえ、さらに考察を進めてみよう。そのスタイルは、どれほどの頻度で奏功しているだろうか。その効果は、特定のタイプの人に対してより顕著ではないだろうか。その理由を考えたことはあるだろうか。影響力には5つの異なるスタイルがあるため、自分がなじんでいるものだけを使っていると、つまりは5人のうち4人に対して影響力を及ぼせない可能性もあるのだ。
自分と他者の影響力のスタイルを意識することは、変化が激しくストレスの多い今日の環境下では特に重要だ。なぜなら、人は無意識のうちに自分の好む行動様式に沿って行動し、期待した結果が得られないと、その行動様式にもっと固執する傾向があるからだ――それが効果的ではないにもかかわらず。
あなたの成功が、直接の権限が及ばない人々の協力を得られるかどうかにかかっている場合、これは懸念すべき問題となる。より多くの人々に対して影響力を強めるための第一歩は、5つのスタイルを知り、使い分けることだ。
自分が用いていない影響力のスタイルがあることを知るのは、よいスタートとなる。影響力をさらに高めるためには、それぞれのスタイルがどんな時に効果的か、または効果がないのかを学ぶ必要がある。それを認識することで、自分のスタイルでは効果がないのはどんな場合なのか、そして効果的なスタイルはどれなのかを判断する役に立つ。
あなたはどの影響力のスタイルをお持ちだろうか。今後、そのスタイルをどうしていけばよいだろうか。
HBR.ORG原文:What's Your Influencing Style? January 13, 2012

クリス・マッスルホワイト(Chris Musselwhite)
リーダーシップ開発を行うコンサルティング会社、ディスカバリー・ラーニングのプレジデント兼CEO。
タミー・プラフ(Tammie Plouffe)
リーダーシップ開発を行うコンサルティング会社、イノベーティブ・パスウェイのマネージング・パートナー。