2012年初めにはサッカーに加え、日本では競技人口が少ないアメリカンフットボールの日本選手権大会「ライスボウル」のスポンサーにもなりました。いったいなぜ?という問いかけに大喜多寛社長は、「“知的さ”に敏感な層の取り込みを狙い、戦略性の高いスポーツを選んで支援している」と答えています(2012年5月22日付の日経産業新聞より)。
サッカーやアメフトはフォーメーションや作戦が多彩で、“頭を使うスポーツ”であり、アウディがこうした戦略性の高いスポーツを支援しているのは、高級車ブランドの価値基準に「ステータス」ではなく、「知性」が求められるようになっていることを表しています。
その観点で、アウディの活動をもっと調べてみましょう。クラシックの祭典である「ザルツブルク音楽祭」への支援のほか、高い技術力を生かして開発した超軽量イス「R18 ウルトラチェア」のデザインイベントへの出品、都市とモビリティの関係を考えるコンテスト「The Audi Urban Future Award」の主催など、非常に多岐にわたっています。

アウディジャパンが「The new Audi Q3」のキャンペーンのために開設した謎の暗号サイト。スーパー頭脳集団「MENSA」が作成した暗号からアウディのメッセージを解読してもらうというこの試みは、大きな話題を呼んだ(現在はキャンペーン終了)。
ネットキャンペーンも盛んに行っており、2012年4月にアウディジャパンが公開した新モデルのキャンペーンサイト「The new Audi Q3 Decode Challenge」は国際的なスーパー頭脳集団「MENSA」が作成した暗号問題にチャレンジできるということで、多くのアクセスを集めました。
こうした個々の活動に共通するものを考えてみると、そこにはサッカーやアメフトへの支援と同じく、“知的好奇心を刺激するもの”という一貫したテーマが見えてきます。そして、これはライバルであるメルセデス・ベンツが「重厚さ」、BMMが「スポーティー」を訴求していることへの差別化にもなっており、ラグジュアリー市場の新しい変化の動きに、アウディがもっとも適応していることを意味しているのです。