高級車市場において、アウディの成長が著しい。リーマン・ショックでも売り上げが減少しなかった同社は、すでに世界の販売台数でメルセデス・ベンツを抜き、高級車ブランドのトップに躍り出ようとしている。その背景にあるプロモーション戦略を探ることで、現代の消費者に愛される高級車のあり方が見えてくる。
高級車市場に長らく君臨するドイツ御三家メーカーといえば、BMW、メルセデス・ベンツ、アウディですが、なかでもアウディが数年前から大躍進を遂げています。
世界の自動車メーカーが大きなダメージを負ったリーマン・ショックの影響も受けず右肩上がりの成長を続け、2012年には世界で約146万台を売り上げてメルセデス・ベンツを抜き、首位のBMWに迫る勢い。すでにヨーロッパ、中国ではナンバーワンの高級車ブランドとなっており、アメリカでも販売台数が急増しているのです。
これは日本でも同様で、アウディジャパンは6年連続で販売台数の最高記録を更新するほどの快進撃を続けています。どうして、同社はここまで支持されるようになったのでしょうか?その理由は、アウディのプロモーション戦略を探ることで見えてきます。
サッカーから暗号解読まで アウディのマーケティングは知性がテーマ

サッカー男女代表をサポートするアウディジャパンによる、世界に1台しかない貴重なモデル「A1 サムライブルー」。2012年の東京モーターショーで公開された。
アウディは高級車ブランドのなかでも、ある一貫したテーマに沿ったマーケティング・広報活動を行うブランドとして知られています。例えば、スポーツへの支援です。
アウディジャパンは2011年からサッカー男女代表のスポンサーになっており、“なでしこジャパン”が活躍したときには、小型車「A1」の「サムライブルー・リミテッドエディション」も販売しました。これは大きな話題になったのですが、狙いは単純に「なでしこ人気」に乗ることではありません。