影響力は、人とのつながりを通して行使される。そこで問われるのが人脈づくりの能力だ。では、社交性に欠ける性格の持ち主は、どうすればよいのだろうか。内向的な人がうまく人脈を築くためのヒントをお伝えする。本誌2014年1月号(2013年12月10日発売)の特集「人を動かす力」関連記事、最終回。
私はキャリアの早い段階で、人脈づくり(ネットワーキング)が非常に重要であることを知った。同時に、自分が生来それを苦手としていたことにも気づいた。当時私は売上高100億ドルの企業(製薬大手のバクスター・ヘルスケア)の新卒社員で、戦略計画部門に配属されていた。ある上級幹部の引退パーティーに、我々部員たちは招待された。引退する男性は、私が短い在職期間のなかで尊敬していた人物だったので、彼から影響を受けたことをパーティーで本人に伝えたいと思った。
パーティーに出席したい気持ちはあったが、私は内向的なのでこの種のイベントは居心地が悪く、たいてい避けていた。そのパーティーには上級幹部が多数出席すると知り、余計に恐ろしくなった。しかし恐怖心を抑えて行ってみた。会場に到着すると、比較的人数がまばらな部屋を見つけた。そこは、引退する幹部の友人や、親しい同僚のための部屋だった。その場所で限られた人数とともに時間を過ごせたおかげで、その晩は何人かの上級幹部と1対1で話すという栄に浴することができた。この経験は、私がキャリアを進めていくうえでとても重要なものとなった。
その晩に人脈づくりの重要性を知った私は、なるべく苦痛とならないようビジネスのイベントに参加する方法を見つける必要があると気づいた。その後、内向的な人が使えるさまざまな方法を探し続け、最終的にはThe Introvert’s Guide to Success in Business and Leadership (2011年、電子書籍、未訳。「内向的な人がビジネスとリーダーシップで成功する方法」)を書くに至った。人脈づくりに前向きに取り組む方法を見つけたおかげで、私は26歳でマーケティング・マネジャーとなり、社内で最も目立つチームの1つを率いるというありがたい役割を手にした。ジェノバで開かれた国連のカンファレンスでも、会社を代表して話をした。やがて、売上げ7億5000万ドルの事業を運営し、大手グローバル企業と医薬品に関する契約を交渉するようになった。こうしたすべてのことを、自分の内向的な性格に適したやり方で進めたのである。