変化の激しい現在のビジネス環境では、従来の枠組みを超えて、新たなビジネスの土俵を生み出すことが求められている。その方法として注目されているのが「行動観察」である。行動観察では、“場”に必ず足を運び、そこで起こっている事実をていねいに集める。そのうえで、事実を構造的に解釈し、新しいフレームを生み出すのだ。本稿では行動観察における5つのステップについて論じる。

なぜいま行動観察なのか

 いま、新しい仮説が求められている。変化の激しいビジネス環境において、これまでと同じ枠組みのなかでの最適化はすでになされてきており、単位時間当たりの生産性は、行き着くところまで行き着いた感がある。

 そのようななか必要とされているのが、従来のフレーム(枠組み)を再定義し、ビジネスのゲームを変えるイノベーションである。真面目な企業が土俵のなかで相撲の腕を磨いている間に、イノベーティブな企業は新たな土俵を創って相撲というフレームそのものを変えてしまう。