いまや技術者の獲得をめぐるグローバル競争は激化しており、最も市場で注目を集めているのがインドだ。IT業界でのインド系技術者の台頭には凄まじいものがある。そのインドで最高峰の技術者を排出しているのが、インド工科大学(IIT)である。アジアで日本企業の採用活動に携わる著者が、知られざるIITの実態を紹介する。
初めまして、宮武周平と申します。リクルートキャリアで、日本企業のグローバル採用に関わるプロジェクト(WORK IN JAPAN)を行っています。アジアを中心に飛び回り、さまざまな地域の人たちと出会い、熱意と夢で溢れたアジアの人たちに「はたらく機会」を、日本企業に「無くてはならないグローバル人材との出会い」を提供する仕事です。
そんなアジアを飛び回る中で出会った魅惑の国の1つが「インド」です。いまやIT業界でインドは無視できないほどの存在感を見せています。元々高い数学の能力を兼ね備えていると言われていますが、実際に何がどうすごいのか。私が感じたままのリアルなインドをお伝えさせていただきます。
NASAの科学者のうち何割?
世界のトップでテクノロジーの進化を支えるインド系人材

IIT-Delhi
近年、世界のグローバル企業や研究機関において、インド系人材の存在感が強くなっています。
NASAの科学者の3割強、米シリコンバレーのIT企業の管理職の6~7割を占めているのがインド系人材。今年2月、マイクロソフトの3代目CEOに就任したサティア・ナデラ氏もインド出身ですね。
もはや「インドの理工系人材は優秀」というのは世界の共通語になった感があり、IT企業を中心に、彼らをめぐる採用競争(ウォー・フォー・タレント)は世界的に熾烈を極めています。
超優秀人材を輩出!
インドにおける夢の大学、それがインド工科大学(通称:IIT)。

(みやたけ・しゅうへい)
株式会社リクルートキャリア
新卒事業本部 WORK IN JAPAN推進グループ
新卒でサイバーエージェントに入社し、WEBプロデューサーとして従事。2009年リクルートに中途入社。Media ProducerとしてSUUMOの立ち上げに関わった後、11年4月に今度は世界を舞台に企画をしたいと希望して、アジア圏の新卒学生と日本企業をマッチングする新卒人材紹介サービス『WORK IN JAPAN』の企画担当に。
世界的に評価の高いインドの理系の学生の中でも、最も高い評価を受けているのが国立大学である、インド工科大学(IIT:Indian Institute of Technology)です。
その優秀さは、大学の就職フェアをみれば一目瞭然。グローバルトップ企業の本社から採用責任者がこぞって獲得にやってきます。2013年には、オラクルがIITの学生に対して、初任給で年収1300万ルピー(約2200万円)を提示したというニュースが流れました。このほかにも、グーグルやサムスンといった企業が1000万円を超える年俸を用意し、IITの学生にアプローチしているのです。念のために再度申し上げますが、これは中途採用で提示している金額ではありません。大学をまだ卒業していない、これから働き出す予定の学生に対して提示している報酬です。いわゆる大学新卒の初任給。これがIITなのです。