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棋士が一番強い時期は、20代から30代というのが定説だ。蓄えた知識や経験と、記憶力、勝負の先を読んでいく計算力、考え続ける体力とのバランスが取れているからだ。棋士としての節目といわれる40歳を越えた森内俊之氏が、自分に訪れる変化といかに向き合い、進化していくのか。長きにわたり、第一線で活躍し続けるための秘訣を語る。
紙一重の勝負を制するために欠かせないもの
若い頃は、根を詰めてがむしゃらに研究をしても疲れが気にならなかった。精神的に乗らない時でも、勢いに任せて突き進むこともできた。知識を貪欲に吸収し、自分が技術的に向上する喜びを実感したり、やればやるほど湧いてくる疑問を、寝食も忘れてとことん突き詰めることもあった。すべての面で伸び盛りの頃は、ただひたすら、成長という坂を上っていく経験が必要だ。それが棋士として実力を伸ばす大きな原動力になる。
プロ棋士として27年間戦い続けてきたいま、若い頃にはそれほど重きを置いていなかった「健康」が、勝負の場面で最高のパフォーマンスを発揮するために不可欠なものだと感じている。当たり前のことだと思われるかもしれないが、とても大切なことだ。