アジアの企業は、欧米企業に比べてはるかに後れをとっている。アジア(オーストラリアを含む)のトップ企業はいまだに男性の独壇場である。大多数(89%)の企業は、経営陣に女性が2人未満しかいない。経営委員会のメンバー1099人のうち、96%は男性だ。わずかにいる42人の女性のうち3分の2は、スタッフ部門を担っている。
我々の調査ではこうした比率を考察するに当たり、「ジェンダー・バランスの6段階」に沿って企業を位置づけている。
1. 休眠中(Asleep)
まだ何の取り組みも始めていない企業。これらの会社は2014年現在、いまだに男女不均衡の見本のような存在であり、経営陣には男性しかいない。
2. 形だけ(Token)
女性は経営陣の15%未満。このカテゴリーでは、女性はライン部門や事業部門に関わる役職ではなく、スタッフ部門またはサポート部門を担っている。
3. 賢明なスタート(Starting Smart)
ここでも女性は15%未満だが、中核的な役職や事業責任者を担っている。CEOの場合もある。
4. 進展中(Progressing)
経営陣の15〜24%が女性。
5. 必要最低限(Critical Mass)
経営陣の25%以上が女性だが、40%には達していない。
6. バランス達成(Balanced)
経営陣のうち男性に対する女性比率が40%以上に達している、稀な企業。このジェンダー・バランスは、顧客とリーダーシップ、および人材の21世紀の在りようを反映していくことになる。そして、イノベーションを起こし持続的かつグローバルに価値を届けるうえで競争優位となる。
ジェンダー・バランスの進展に伴い企業がどのような進歩を遂げているのかは、仔細に探る必要がある。なお、世界の上位300社のうち、女性CEOを擁しているのはよく知られた9社だけである(2014年4月現在:ヒューレット・パッカード、IBM、ゼネラルモーターズ、ADM、デュポン、ロッキード・マーチン、モンデリーズ・インターナショナル、ウエストパック銀行、ペプシコ)。
地域間の違いには、ジェンダー・バランスをどれだけ重視するかに関する各国の文化が影響している。業種間にはあまり差はなく、最もバランスのとれた企業を見てもバラつきがある。
経営層におけるジェンダー・バランスを確立するうえでカギとなるのは、リーダーシップだ。「バランス達成」または「必要最低限」に達した企業は、その企業文化とマインドセットを率先して21世紀に適応させてきた。その功績に我々は敬意を表する。そして、その他の企業にとってよい手本となることを望んでいる。
HBR.ORG原文:Study: Female Executives Make Progress, But Mostly in Support Functions April 21, 2014
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