日本は経済先進国だが、マーケティング後進国である。バブル崩壊という大転換期でも変わることができず、いまだに高度成長期のような環境を前提とした、新興国型のマーケティングを続けているからだ。では、成熟市場に求められる新しいマーケティング戦略とはいかなるものだろうか。その方向性は、筆者の一人フィリップ・コトラーの「マーケティング3.0」に示された。本稿では、〈ネスカフェ アンバサダー〉の事例を基にしたマーケティング3.0の実践例、そしてマーケティングの未来が語られる。

経営とはマーケティングそのもの

 経営とはマーケティングそのものである。

「経営」という単語は、英語で「マネジメント」と訳される。人を管理して生産性を上げることを考えれば、たしかにその一面はある。しかし、これからは「マーケティング」と訳す時代がやって来るのではないか。