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ITの進化により、顧客との関係はもちろん、マーケティングのツールやアプローチも劇的に変化した。にもかかわらず、マーケティング組織は40年前と変わらず、旧態依然としている。組織の刷新の必要性を認識しながらも、手をこまねいている企業も多い。筆者らは「マーケティング2020」という研究プロジェクトで、世界92カ国1万人以上のマーケターにアンケート調査や、350人以上のCEOやCMOなどへのインタビューを実施。3年間の売上成長率を基にハイ・パフォーマンス企業とロー・パフォーマンス企業に分け、戦略、組織構造、ケイパビリティを比較した。本稿では、ハイ・パフォーマンス企業に共通するマーケティング原則をデータ利用、ポジショニング、顧客経験の観点から解説するとともに、組織の成長を促進する5つの要因を明らかにする。
マーケティング組織の再編は急務である
この10年で、マーケターの顧客との関わり方はすっかり変貌を遂げた。おそらくITを除いて、これほど速い進化を見せた分野はほかにないのではないか。ほんの数年前まで最先端だったツールや戦略が急速に陳腐化し、新しいアプローチが日々出現している。それなのにほとんどの企業では、ブランド・マネジメントが実践されるようになってから40年以上、マーケティングの組織構造が変わっていない。一昔前の硬直化したヒエラルキーがいまだにまかり通っているのだ。
マーケターは、自分たちの組織に見直しが必要なことを承知している。組織図を破り捨てたCMO(最高マーケティング責任者)も少なくない。だが、我々が調査や何百ものグローバル・マーケティング組織と仕事をするなかで知ったのは、そうしたCMOも新しい組織図をどう作成するかで頭を悩ませているということだ。では、理想的な組織体制とは、どのようなものか。我々の答えはこうだ。そもそもその質問が間違っている。単純明快な青写真など存在しない。