行動変革に関するHBR.ORG人気記事。人を突き動かし組織を変える10の方法を、『ビジョナリーカンパニー4』の著者モルテン T. ハンセンが厳選してお届けする。
あなたはいかにして、リーダーや従業員、顧客、そして自分自身の行動を変えようとするのだろうか? 経営幹部は戦略や商品、プロセスにいくらでも手を入れることはできる。しかし真の変革は、人々の行動を実際に変えない限り実現しない。
このテーマに関する数々の研究を基に、効果がありそうだと私が思う10のアプローチを以下に示そう。
1.変えるのは1度に1つだけ
以前私が働いていたある会社では、従業員に実践してほしいこととして、8つの価値観と12の行動特性を掲げていた。結果、何も変わらなかった。優先事項が20もあったら、何もないのと同じである。人間がマルチタスクに向いていないことは、数々の研究で明らかにされている(英語記事)。1度に変える行動は1つに絞ろう。複数の行動を変えるには、順繰りに取り組むとよい。
2.行動目標を具体化し、実行に結びつける
目標達成に関する理論によれば、目標は具体的で測定可能にしなければ効果がない。これは行動変革についても同じだ。「積極的に耳を傾けよう」は曖昧で測定不可能だ。「相手の発言を、別の言葉に置き換えて伝え返し、自分が正しく理解しているかをチェックしよう」であれば、具体的かつ測定可能となる。
3.鮮烈なイメージを見せる
著名シェフのジェイミー・オリバーは、米国の学校で子どもたちに食習慣の改善を訴えた時、皆の関心を引くためにあるものを用意した。吐き気を催すような、トラック1台分の混じり気なしの動物性脂肪である(写真参照)。肥満の子に料理の仕方を教えている時には、頭を上げ背筋を伸ばし、意気揚々と歩き回って食材をさばき、料理することがいかに「カッコいい」かを体で示した。そのポジティブなイメージに少年は共感するのだ。(オリバーはTEDのプレゼンでは、糖分の過剰摂取を示すために、床に大量の角砂糖をぶちまけている。)
ハーミニア・イバーラが著書『ハーバード流 キャリア・チェンジ術』のなかで説明しているように、「新しい自分」をイメージすることは変革を強く後押しする。ストーリーや比喩、画像、道具を用いて、「現在のあわれな私たち」のイメージと、「将来の輝かしい状態」のイメージを描き出してみよう。そうすれば、変革へと突き動かす(または変化に抗う)要因、つまり感情を喚起できる。