ある大企業で週次で実施している経営陣が出席する経営委員会の準備には、年間約30 万時間が費やされていることが分かった(実に、約150人分の年間業務量に相当する)。会議を綿密に運営する4つの鍵を紹介する。
優れた財務的成果をあげるための一つの鍵である労働生産性には、優秀な人材の採用、効果的なチーム設計、組織の障害を排除することが求められる。そして、組織内の人がいかにコミュニケーションをとるかも非常に留意する必要がある。多くの会社では、メールの返信や生産性の低い会議に多くの時間を使ってしまっている。
なぜ、こういうことが起きてしまうのか。メトカーフ(メトカルフェ)の法則に問題があったのだろうか。
ロバート・メトカーフは、通信網の価値は利用者数に比例して高まると提唱した。例えば、一台のファックスはそれ自体では無価値だが、何百万台ものファックスがあることで価値のあるネットワークになるのだ。しかし、この法則には問題もある。1回あたりのコミュニケーションコストが下がると、コミュニケーション数が急激に増えてしまうのだ。毎日膨大なメールを送り、本当に読む必要があるかは別にしてたくさんの同僚をCCに入れるようになるのだ。
最悪なことに、コミュニケーションコストの低下は会議をも増やす。一昔前は、経営陣が参加する会議を招集するのは時間がかかる大仕事だった。アシスタントは参加者全員の都合がよい時間帯を、膨大な時間をかけて確認していた。今では、アウトルックや同様のプログラムで確認して、簡単なメールを送るだけでよいのだ。結果として、多くの経営陣が毎週20時間以上を会議に使う。しかも、たくさんの人が招集されているような類の会議が多い。
我々の調査によると、ある大企業で週次で実施している経営陣が出席する経営委員会の準備には、年間約30 万時間が費やされていることが分かった(実に、約150人分の年間業務量に相当する)。
しかし、会議に飲み込まれる必要はない。他の時間管理と同様に、会議も綿密に運営できるはずだ。ここでは4つの鍵を紹介する。