120年に及ぶ歴史を有し、かつ常にエクセレント・カンパニーの地位を保ち続けるゼネラル・エレクトリック(GE)。その営みは、ワークアウトやシックス・シグマなど新たな経営手法を貪欲に取り入れてきた、企業変革の実践の歴史でもある。今日ではリバース・イノベーションなどで新興国での事業展開でも先頭に立ち、CSVの実践でも世界の注目を浴びる。GEはいまなぜCSVに取り組んでいるのか。その答えは創業者トーマス・エジソンの精神への原点回帰であった。グローバルでイノベーションを続ける秘訣を日本GEのトップに聞く。

創業者エジソンが求めたのは
「世界が必要としているものをつくること」

編集部(以下色文字):CSVは3つの側面からとらえられます。一つはイノベーション。CSVに取り組むことでイノベーションが生まれるからです。もう一つがグローバル化。地球規模で展開するグローバル企業はこの問題を避けて通れません。そして3つ目が企業の社会的責任です。これも、グローバル企業であるほど逃れられない問題となっています。ゼネラル・エレクトリック(GE)は、どの入り口からCSVに入ってこられたのでしょうか。

熊谷(以下略):どれも違います。世界中の社会や人々が抱えている問題は何か、つまり真のニーズは何かというところから始まっています。そこからイノベーションが生まれ、新しいビジネスにつながっていく。その結果として、企業の成長がついてくる。ただそれだけのことです。我々も、あとから考えたら「これがCSVということか」と気づきましたが、そもそもCSVということはまったく意識していませんでした。