シリコンバレーにあるアロフトホテルは、「ロボットの客室係」として〈ボトラー〉を導入し話題を呼んでいる。その経緯と目的を、アロフトのブランド・リーダーが語る。ロボットの意義や是非を論じるうえで、「ワクワク感」は重要なキーワードなのかもしれない。
何年も前のことだが、私は短い期間ホテルのベルボーイをしていた。宿泊客を迎え、旅行カバンを客室に運び、チェックアウト時には再び階下へと運ぶ。スキーやスノーボード、あらゆるサイズのカバンを抱え、狭い廊下を案内し、ちょっと気の利いた話をしてチップを得るというこの仕事には、社交性と器用さが求められた。つまり、自動化は困難と思われる職種である。
そういうわけで、カリフォルニア州クパチーノのアロフトホテル(スターウッドホテル&リゾート傘下)がロボットの客室係(バトラー)を試験運用する、という記事に私は興味をそそられた。〈ボトラー〉(Botlr)と名付けられたこのロボットは、人間のスタッフに代わり歯ブラシやカミソリといった備品を客室に届けてくれる。
この試みの動機について聞こうと思い、私はアロフトホテルのグローバル・ブランド・リーダーであるブライアン・マクギネスに取材した。自動化の背景にあるのは、コスト削減や正確性・信頼性の向上といった、よくある理由だろうと見込んでいたのだが、そうではなかった。マクギネスによれば、顧客が人よりもむしろロボットとの接触を好むこと、そして最先端のテクノロジーを高く評価してくれることを、アロフトは見込んでいるという。そしてもちろん、スタッフがもっと「人間的な」仕事に時間と労力を注げるようになることも。
以下はインタビューを編集したものである(聞き手:HBRアソシエート・エディター、ウォルター・フリック)。