星野リゾートは「リゾート運営の達人になる」というビジョンを1992年に定義した。代表の星野佳路氏は、ビジョンの共有は徹底しつつも、利益や売上げといった数値目標や計画は、あくまでも「目安」にすぎないと考えて重要視しない。その一方で、ノウハウや顧客満足度の数値化にはこだわっている。星野リゾートは結果の数字より、プロセスを数値化することで、企業は成長すると考える。目標設定についてトップみずからが論じていく。

星野リゾートが考える
目標の定義

 星野リゾートが想定している目標と、一般的な目標との間には乖離がある。そのため、まずは目標について定義しておきたい。

 星野リゾートでは「ビジョン」が最終的な到達点であり、こういう会社になりたいという「将来像」と定義している。一般的な企業では、このようなビジョンを目標と呼んでいるかもしれない。しかし、星野リゾートでは目標とは別のものとしてとらえている。社内で目標と言う時、それは当面抱えている課題をどのように解決していくか、そのためにどのような行動を起こすかを指す。つまり、ビジョンに向かっていく手前で達成すべき、具体的で身近な課題の解決策を指している。