いかに効率的にクリエイティビティを発揮するかは、だれもが抱える課題である。歴史に残る業績を達成した偉人はどのような生活から成果を出したのか。そこから誰もが通用する黄金律を得られるか。

 

偉人たちはどのような日常を送っていたのか

 弊誌ハーバード・ビジネス・レビューでも昨年の11月号で特集しましたが、創造性と生産性を高めることは、我々ビジネスパーソンの永遠の課題でもあります。そのための方法論は数々のビジネス書で紹介されており、「朝5時からの仕事術」「一日の仕事を4時間で終わらせる」といったような書名の本が書店で目にします。

 ここで取り上げる『天才たちの日課』は、それらの自己啓発書を凌駕するような、圧倒的な量と質のヒントが紹介されています。本書では、古今東西161人の偉人が、どういう日常生活を送り、どのように創作活動の時間を捻出していたかを紹介しています。登場するのは、ベートーベン、モーツアルトといった音楽家、マティス、ミロ、ピカソなどの画家、トルストイ、カフカ、チャールズ・ディケンズなどの作家などなど。さらに、政治家のベンジャミン・フランクリンやカール・マルクス、進化論のダーウィン、ウッディ・アレンにアンディ・ウォーホール、フランク・ロイド・ライトにアインシュタインと、そのバラエティだけでも知的好奇心をくすぐります。ちなみに日本人は村上春樹さんが登場。ここでは紹介しませんが、そのスタイルの独自性は本書の中でも独特の輝きを見せます。

 それぞれが1頁から4頁ほどで彼らの日常が綴られています。

 面白いのが、多くの偉人たちが規則正しい生活を好ましいと考えていたということ。かつ、規則正しい生活を実践できた人はさほど多くなかったということ。人によって朝型、夜型が別れますし、食事をきちんと取ってエネルギーに変える人と胃の負担を減らそうと軽食で済ます人も分かれます。