チームに新人や未経験者を入れることのメリットは予想以上に大きい。驚くべき3つの効果――①外部の専門家を巧みに活用する、②新たな領域に果敢に挑戦する、③機敏に動き、より多くのアイデアを出す、を紹介する。

 

 企業にとって新人は長期的な財産になるが、短期的には重荷になる――そう考える採用担当マネジャーは少なくない。仕事を教え、訓練を施す必要があり、一人前になるまでは簡単な仕事しか与えられない新人は、必然的にチームの足を引っ張る存在だと思われがちだ。

 しかし、それは必ずしも正しいとはいえない。私は経験の乏しい者が困難な課題にどう取り組むかを研究している。そして新人が(新卒者であろうと、他の企業や部門のベテランだった新任者であろうと)、驚くほど優れたパフォーマンスを上げる例を数多く見てきた。

 新人は知識やスキルが大きく不足しているため、注意深く、敏速に、賢明な判断をしながら働く。熟練したスキルが必要な仕事や、たった1つのミスが命取りになるような仕事にはあまり向かない。しかし、急速に変化する環境下でスピードが問われる時、創造性が求められる知識労働でとりわけ高い能力を発揮する。たとえば科学技術の分野では、情報量が9カ月ごとに倍増しているうえ、情報の30%が1年で古びてしまうことを考えてみてほしい(英語論文)。つまり5年も経てば、修得した技術的な知識の85%は使い物にならなくなってしまうのだ。今日では多くの専門職従事者にとって、蓄積された知識よりも、新しいことを学ぶ能力のほうが問われるのである。

 我々の研究によると、新人が特に得意とすることが3つある。

1.専門家のネットワークを築き活用する
 新人は自前の知識や見識が少ないため、他者の助けを借りることにためらいがない。我々の研究によれば、新人が他者に助けを求める傾向は既存社員に比べ4倍も高く、助言に耳を傾ける傾向は50%高い。経験豊富な同僚と比べ、専門家の知識を頼る傾向は40%高く、その過程で新人のほうが5倍多くの人々とつながりを持つ。

 金融サービス企業バンガードのITマネジャー、ジェフの例を見てみよう。ベンダー管理というまったく経験のない分野を突然任され、まるで陸に上がったカッパのような気分になった。しかし彼は、その分野で豊富な経験を持つ25人の人々に計画的に接触し、わずか数週間後には、助言を授けてくれる専門家たちの広範なネットワークを構築していた。

 アクセスできる知識を増やしたいマネジャーは、新人に仕事を任せつつ、「自分ですべての答えを出す必要はない」と伝えてみよう。1人の専門家を雇えば1人分の専門知識を得るだけだが、新人を活用すれば何人もの専門家と関係が築けるのだ。