新しい技術が生み出す弊害にどのように対処するか
弊誌ハーバード・ビジネス・レビューの最新号では、IoTを特集しましたが、今後のIoTの発展もこのようなプロセスを経るのではないか。弊誌のウェブ版に上げた記事でもそのことが紹介されています。この記事によると、家庭にあるあらゆるものがインターネットにつながり、そこで検知した現象の告知がメールでいちいち送られてくると、そのわずらわしさに悩まされることになると指摘されています。
IoTが進むと、想像できなかったさまざまなサービスが登場する可能性があります。冷蔵庫が足りない食材を察知して自動的に注文を出してくれたり、エアコンがウィルスを感知して警告を発してくれるなど、かつての未来映画のような世界が訪れるかもれません。しかし、過渡期的には、先のウェブの記事のような人を煩わすツールになる可能性もあります。
新しい技術の発展にその弊害はつきものです。そこで、やはり新しい技術は新しい使い方の提案と一緒になって初めて社会に価値を生むことになります。技術がどう使われたら、人々の役に立つか。そこでどのような弊害が生まれるか、それを解消する仕組みをつくれないか。これら、技術が登場したまだ見ぬ世界をどこまで想像力を働かせて洞察できるかが、IoTを社会に生かす決め手になるでしょう。
過渡期はさまざまな問題が出てきます。だからといって様子見を決め込むのではなく、果敢に新しい技術が生み出した問題に対処する企業こそ、長期的な競争優位を獲得することになるのです。(編集長・岩佐文夫)