最初は、完全に僕の悪ノリからスタートしました(笑)。会社が創立10周年を迎える2012年、なにかやり残したことはないかと考えて、「サンバだな」と。当初は、社員も散々文句を言っていましたよ。でも、これをやりきったあとは「また来年もやりましょう!」と言ってくれて、そこから3年連続で出場しています。
40度近い気温の中で40分間も踊るので、もう地獄のようにつらいですよ。ただ、単にお金が儲かるとかではない、人を楽しませる快感があります。また、開発もサポートも総務も経理も人事も一緒になって全員でやり切ると、ものすごい一体感が生まれるんです。
――それは、森下さんも一緒に踊られますか。
もちろん。僕が外からビール飲みながら見物していてはダメです。苦しいことは率先してやらないと。だからこそ、結束が固くなります。その意味で、サンバのように全員で何をやることは、組織運営にいい影響をもたらしていると思います。
「ものづくりをする経営」が
ゲーム会社が勝ち残る本質
――現場に森下さんの思想や哲学が根付いたと思えたら、ふたたび経営に専念されるということはありますか。

それはないと思います。自分の創作意欲がなくなったら会社を辞めます。ものづくりを現場と一緒にやっていくのが、自分にとっては一番幸せですから。ゲームをつくる気がなくなってしまったら、そこにいる意味がないかな。トップクリエイティブでものづくりをしていて、そのトップがクリエイティブでなくったら、みんな不幸ですよね。とはいえ、創作意欲はなくなりそうもありませんが(笑)。
――反対に、開発に専念されるという可能性はありますか。
社長という肩書きにはこだわっていません。でも、冗談でもそういうことを言うと、現場から猛反発されるので控えます(笑)。ただ、肩書きへのこだわりはありませんが、「ものづくりをする経営」を会社の哲学としてやっていきたいという思いはあります。
僕らの会社は、ゲームが心臓部です。ゲームをつくるということが、会社の成長ドライバーとしてもっとも重要なこと。海外進出するなどの立派な戦略を立てても、戦うすべがなければ勝ち目はありません。勝つための戦略の肝になるのは、やっぱり、みずからがつくり出すゲームなんです。
だからこそ、その基本をまず守らなければいけないし、常に攻めの姿勢でものづくりをしていかなくてはいけないと思っています。これが僕たち、ゲーム会社としての本質なんです。
後編更新は、4月17日(金)を予定。
後編「コンセプトとテーマがぶれていなければ、ボツの企画が宝の山に変わるときがくる」
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