元LINEの森川亮さんの新著『シンプルに考える』には、仕事や経営に欠かせないエッセンスが凝縮されている。変化が早く複雑な状況を経験することで、シンプルな考えが会得できるのではないか。
イノベーションは目指さない!
最近、自分の仕事の管理の下手さに参っています。
やるべきことを素早く片づけるのが仕事のコツですが、優先順位を間違えて、だれかを待たせてしまうことがしばしば発生しております。
やるべきことを入力すると、その所要時間と締切を逆算して、片づけるべき仕事の順番と開始時間を教えてくれるソフトが開発されることを願うばかりです。
多分、やるべきことを複雑に考えすぎているのでしょう。
LINEの社長を退任されたばかりの森川亮さんのご著書『シンプルに考える』はまさに、シンプルな言葉の羅列で目から鱗でした。項目を並べるだけで衝撃的です。
「差別化は狙わない」
「計画はいらない」
「ビジョンはいらない」
「情報共有はいらない」
「イノベーションは目指さない」
では、森川さんは何をやるのか。それは「ユーザーのニーズを追求すること」のみです。表面的な価値と本質を見誤ってはいけない。本質的なことと本質的ではないことを見極めることの重要性を強調されておられます。イノベーションを目指さないのも、目的が画期的なことをつくることではないからです。ユーザーのニーズを追求した先に、結果的に「イノベーション」と言われるものが生まれるに過ぎないのです。
何が大事で何が大事でないか。この判断をいちいち下していたのでは時間が足りません。そこでシンプルな原則が大切になります。
森川さんは、日本テレビやソニーを経て、2003年にハンゲーム・ジャパン、いまのLINEに入社されました。大企業で根回しを伴う仕事や新規事業開発、そしてネット企業での事業立ち上げなど様々な業務と立場を経験されてトップにつかれました。トップとしても同社の躍進を牽引されたとともに、ご自身も多様な経験をされてこられたと思います。
そんな変化に富んだ環境を経て生み出されたのが「シンプルに考える」重要性なのです。