生活者のデジタルシフトに、企業はどれほどの追いつけているのか。グーグルがアジア太平洋地域主要5カ国で行った調査からは、企業が直面する4つの課題、そして、日本企業の遅れが見えてきた。グーグルの好評連載、第11回。

 

生活者のデジタルシフトに企業は追いついているか?

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森島 知恵(もりしま・ともえ)
グーグル株式会社APACビジネスマーケティング部 マーケティングマネージャー。2013年にGoogleシンガポール支社に入社。アジア太平洋地域において、主に大企業・広告代理店向けにGoogleの広告プロダクト及びデジタルマーケティング全般の普及を推進するマーケティング活動に従事。入社前は、外資系コンサルティング会社で、ヘルスケアや化学メーカー等、様々な業種のコンサルティング業務に携わる。東京大学大学院修士課程修了。ペンシルベニア大学経営学修士取得。

 ここまで、デジタルテクノロジーの進展とともに変わり続ける生活者に対し、私たちが考える新たなマーケティングと打ち手を解説してきた。すでにいくつかの取組みを始めている方も、そうでない方もいると思うが、その重要性は多くの方が理解しているであろう。

 しかし、生活者の動きに比べ企業の動きは遅い。例えば、広告活動におけるデジタルメディアの利用は、生活者のそれに比べると低く、2014年度のデータで約30%の乖離がある(注1)。

 なぜだろうか。今回は、グーグル がインド、オーストラリア、シンガポール、中国、日本のアジア太平洋地域主要5カ国において、マーケティングに携わる経営幹部を対象に実施した調査(注2)をもとにその課題を整理する。

マーケティング組織が共通して直面している4つの課題

 調査の結果、マーケティングの方法論だけではなく、組織的なボトルネックを抱えていることが浮き彫りとなった。地域や業種に関係なく、マーケティング組織は主に4つの課題に直面している。

(1)従来型マーケティングに最適化した組織
(2)共通言語化されていない投資対効果の評価指標
(3)不足しているデジタル人材とリソース
(4)組織に取り込むことを難しくしているデジタルの複雑性