人のことを評して「頭のいい人」という使い方がよくされる。しかし、人はどういう人を「頭がいい」と評価しているのか。そこに個人差があれば、この言葉を用いたコミュニケーションに落とし穴があることになる。
誰もが共通して「頭がいい人」と思う人はいるか
以前から、人はどんな人を「頭のいい人」と言うのかに関心があります。学生時代なら勉強のできる人、学力の成績のいい人を「頭のいい人」と呼ぶことに違和感がありません。しかし、社会人になると、褒め言葉としての「頭のいい人」は、学力とは別の評価軸として使われています。
自分の経験から、「この人は頭がいい」と思ったときいくつかの要素があります。
まず記憶力のいい人です。以前話したことを覚えている人、以前あったことをファクトベースできちんと覚えている人、年号や固有名詞が頭にきちんと整理されている人にも感動します。
それと、観察力のある人。同じ場にいながら、多くの情報を得ている人、人の何気ない話から多くの情報を得る人などです。思考回路を、インプット→変換→アウトプットとすると、「インプット」の力に長けているのでしょう。情報獲得の力に驚かされます。
このような軸とは別に、もっと主観的で人に対し「頭がいい」と思うことがあります。それは、その人の話がわかりやすいと思えるときです。
こちらの聞きたいことをくみ取って実に明確に答えてくれる人がいます。いまから10年以上前の話ですが、ある戦略系コンサルティング会社の日本代表の方にお会いしました。この方とはそれが初対面だったのですが、当時話題になっていたeビジネスについて話を聞きに行きました。この時、私がビジネスのIT化について「もやもや」していることについて話し質問したのですが、自分でも何を聞きたいのかよくわかっていませんでした。