金融サービス、医療サービスなどですでに多くの成功事例

――機械学習を活用した企業は、どのような競争優位を獲得するとお考えですか。

 ビジネスで成功するには、顧客が何を求めていて、次にどんなオファーをするのが最適なのかなど、顧客のことを正確に理解することが不可欠です。機械学習は、一つのモデルを永続的に使うのではなく、過去のデータを基に新たなモデルをつくり、さらにそこに大量のデータを投入することで、顧客の傾向を正確に把握することができます。その予測精度は時間がたてばたつほどより正確になるのも特徴です。

 機械学習を用いた分析はあらゆるビジネスの局面で有効になりますが、特に効果的なのは毎日繰り返し行っている業務内での分析でしょう。わかりやすい例として、医療診断への応用があります。患者の病歴や過去の症状、現在の状況などからこれから発症しうる病気などをより正確に予測することができます。

――現時点で、機械学習を用いて事業を効果的に運営している企業はどこでしょうか。

 現在当社の製品を使っていただいている企業は世界で約7万5千サイト(7万5千ヶ所)にのぼりますが、そのうちの40%を占める金融業で特に関心が高まっているようです。クレジットカードのVISAは、不正使用の防止と、誤って不正使用と判定されるケースを避けるために当社のソリューションを活用しています。カード会社では、使用パターンなどから不正や詐欺利用の検出を行っているのですが、たまに正規の使用でも誤って不正と判定してしまうことがあります。機械学習を活用することでその検出の精度を高め、不正使用による損失を低減するとともに、正規の利用に対して誤って不正使用の判定を下す確立を低減し、カスタマー・エクスペリエンスを向上することに成功しています。

 また、医薬品開発の分野では、臨床試験データだけでなく、リアルワールドデータと言われるようなビッグデータも同時に活用するビジネスモデルへの変革が始まっており、扱うデータは従来の数十倍、数百倍にも上ります。日本の塩野義製薬では、これら新薬開発のプロセスで従来の臨床統計に加え,機械学習を活用しています。ここでも当社のソリューションが貢献しています。」