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2003年5月に打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ」は、2年後に小惑星「イトカワ」の着陸に成功したものの、燃料漏れやエンジン停止、音信不通などのトラブルが相次ぎ、帰還が何度も危ぶまれた。しかし、「はやぶさ」はそのトラブルを克服し、約60億kmの旅を終えて7年ぶりに帰還した。月以外の天体に着陸した探査機が帰還したのは世界で初めてのことである。「はやぶさ」プロジェクトには非常に多くの研究者、技術者が関わった。限られた国家予算と有限の飛行時間という制約のなか、プロジェクトを率いるリーダーの類い稀なるリーダーシップにより、偉業は成し遂げられた。本インタビューでは、構想段階から計画に参画し、十余年にわたる大プロジェクトを支え続けたプロジェクト・マネジャーの川口淳一郎氏が、ハイリスク・ハイリターンのプロジェクト・チームを率いるリーダーシップの要諦について語る。
最初のシナリオづくりがすべて
編集部(以下色文字):「はやぶさ」プロジェクトを振り返って、チームという観点から、いちばん苦心した点は何でしょうか。
川口(以下略):新しいプロジェクトや企画を立ち上げる際には、スタート・ポイントがいちばん大事だと思います。最初に、何をするのか、何がゴールかを決めるところが重要です。そのベースになるのは、意気込み、やる気の問題です。