新事業のカギを握るのは人材である

 新しく事業を始める時、そのアイデア自体の価値はほぼゼロに等しい、というのが私の意見である。新しい企業は、遅かれ早かれ、競合他社と競争することになるからだ。

 私は1996年から2005年までダブルクリックのCEOを務めたが、創業から1年もしないうちに何十社ものライバル企業が出てきた。ギルト・グループは最初のフラッシュ・セール企業ではないし、グーグルはもちろん当時唯一のサーチ・エンジンではなかったが、なぜ成功できたのだろうか。

 それは、アイデアではなく人材に理由があるからだ。業務の遂行が最も重要であり、それは人材の能力に左右される。一般的に、企業は人材管理には問題がないと考えている。どの企業も「人材は我々にとって最も重要な経営資源だ」と口をそろえて言う。しかし、ほとんどの企業は実際にはその考えを実行に移していない。