CEの5つのビジネスモデルに学ぶ(1)

  まずは、サーキュラー・エコノミーを抽象的な概念から、ビジネスの現場ですぐにでも適用可能な、実用レベルのビジネスモデルへと具体化することが必要だ。CEのビジネスモデルを理解することは難しくないが、実際にCEへとビジネスの舵を切ることは容易ではない。大量生産/大量消費を前提に成長を目指す企業戦略、組織構造、オペレーション、およびサプライチェーンといった機能は、すでに企業のDNAに組み込まれてしまっているからだ。

  「循環型の競争優位性」を目指す企業は、使い捨て思考を捨て、新たなビジネスモデルを構築しなければならない。革新的な方法で資源効率性を向上させている120社以上の企業をアクセンチュアが分析した結果、5つのCEのビジネスモデルが明らかになった。本レポートでは、その5つのCEビジネスモデルを紹介する1。 CEのビジネスモデルは企業に対して、差別化要素の拡大、サービス提供や資産保有コストの削減、新たな収益の創出とリスクの軽減をもたらし、さらに企業活動と需給バランスの関係も変化させる。これらの変化は本レポートの中心的なテーマである。

1.再生型サプライ(Circular Supply-Chain)

  供給量が少ない原材料や調達リスクが高い素材を活用する企業は、「より多くの資金を投じる」か、「代替素材を模索する」の二択を迫られる。再生型サプライではそのような原材料に関わるコストを削減し安定調達を実現するために、繰り返し再生し続ける、100%再生可能な原材料や生分解性のある原材料を導入する。たとえば、カナダのCRAiLAR Technologies Inc.は、亜麻や麻の茎などの端材を使って、コットン並みの品質を持った繊維を環境に影響を与えず生産することに成功した2

2.回収とリサイクル(Recovery & Recycling)

  回収とリサイクルでは、従来は廃棄物と見なされていたあらゆるものをほかの用途に活用することを前提とした生産・消費システムを構築する。企業は寿命を迎えた製品を回収し、価値のある素材や部品、エネルギーを取り出して再利用するか、あるいは製造工程から生じる廃棄物や副産物を再利用する。たとえば、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は、45の生産施設でゴミの排出量をゼロとしたオペレーションを実践している3