CEの5つのビジネスモデルに学ぶ(2)

3.製品寿命の延長 (Product Life-Extension)

  消費者は自身にとって価値を失った製品、つまり壊れたり、時代遅れになったり、不要になったりしたものを廃棄する。しかし、廃棄された製品の多くはまだ使用することが可能だ。製品寿命の延長ではこれらの製品を回収し、修理やアップグレード、再製造、再販することによって製品を保守・改善することで新たな価値を付与し、可能な限り製品寿命を延長する。

  製品寿命を延長することは、これまでの単にものを売るだけの「売り切り型」のビジネスから、消費者にとって必要な製品としてものを積極的に活かし続けるビジネスへの転換を意味する。この転換は企業と消費者との接点もその場限りの取引関係から、必要に応じてアップグレード、修理を行う長期的な関係に変化することを意味する。たとえば、Dellでは使用済みの製品を消費者から買い取り、消費者のニーズにかなうものは再販売することで顧客接点を保ち続けている4

4.シェアリング・プラットフォーム(Sharing Platform)

  先進国では、一般家庭にある製品の最大80%が月にわずか一度しか使われていない5。新たなデジタル・テクノロジーを積極的に活用するシェアリング・プラットフォームでは、使用していない製品の貸し借り、共有、交換によって、消費者・企業・起業家に対して新たな事業機会を提供する。消費者はこの新たなモデルによって金銭を得ることや節約が可能であり、企業は購入頻度が低い製品の生産に資源を割かずに済むことができる。Uber、AirbnbやLyftはこの成長市場における代表例である。

5.サービスとしての製品(Product as a Service)

  もしも、メーカーと小売り企業が製品の「総所有コスト(TCO)」の責任を負った場合、どんな対応をするだろうか? 多くの企業は、これまでの優先順位を変更し、製品寿命や信頼性の向上、再利用可能性に注力するようになるはずだ。サービスとしての製品では、消費者はものを必要な時にだけ借りて使い、利用した分だけのサービス料金を支払う。そしてこれは、従来のビジネスモデルからの根本的な変革であり、製品の量よりも質、処分のしやすさよりも耐久性が重んじられるようになり、企業と消費者の関係の持ち方も刷新される。たとえばPhilipsは、「サービスとしての照明(Lighting as a Service)」と呼ばれるビジネスモデルを導入し、電球を販売するのではなく、どれだけの明るさを提供したかを基準に課金するPay-by-the-Lux、明るさをサービスとして提供している6