-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
-
PDFをダウンロード
リーダーとしての成長を阻む要因
「オーセンティシティ」(自分らしさ)はいまやリーダーシップの鉄則となっている。しかし、その意味について安直な理解に留まっていれば、成長が妨げられ、影響力も限定されかねない。
一例として、ヘルスケア関連組織のゼネラルマネジャーであるシンシアを挙げよう。昇進して現職に就いた段階で、彼女の直属の部下は10倍に増え、統括業務の範囲も広がった。大きなステップアップを果たして少し気後れした彼女は、透明性と協調性を重視するリーダーシップという自分の信条に基づいて、新しい部下たちに胸の内をさらけ出した。「私はこの職務を果たしたいと考えていますが、戦々恐々とした思いでおります。皆さんのお力添えをお願いいたします」。率直なこの発言は裏目に出た。自信に満ちたリーダーの就任を望み、必要としていた部下たちの信頼を、つかみ損なってしまったのである。
別の例を挙げよう。マレーシア出身のジョージは自動車部品会社の経営幹部である。同社では、明確な指示系統が重視され、総意の下に意思決定が下されていた。しかし、彼の会社はオランダに本拠を置き、マトリックス組織である多国籍企業に買収された。ジョージは、同僚たちが自由闊達に意見を戦わせて最も優れたアイデアを出すことが意思決定だと考えている中で一緒に働くことになった。