グローバルブランドの「シンプル度」を測定しランク付けしている会社が、2015年の結果を発表。優れたブランドは、シンプルな顧客体験を提供できるがゆえに支持される。
真に優れたブランドは、人々の暮らしをシンプルにする。グーグルやアマゾン、あるいはダンキンドーナツの存在が際立っているのは、消費者が欲しいものを、欲しいときに、スムーズに届けてくれるからだ。トップブランドは、この複雑な世界において顧客体験をシンプルにすることで、顧客のロイヤルティを勝ち取る。それが業績を向上させ株主価値を生み出しているのだ。
我々シーゲルゲールは6年前から、「グローバルブランド・シンプリシティ指数」を発表している(英語サイト)。これは世界各地の多数の消費者に、グローバルブランドのシンプルさ/複雑さに対する認識をアンケート調査した結果を基に、ブランドのシンプル度をランク付けしたものである。また、業界別のランク付けも行う。
2015年版は8ヵ国1万2000名以上の消費者からの回答に基づき、どのブランドがシンプルな体験の提供に秀でているのかを明確なスコアで示している。そしてこれを見れば、既存企業を脅かす新興ブランドについても知ることができる。
調査結果はまた、シンプル性が業績を牽引することも示している。2009~2015年にかけて、「グローバル」部門のランキングでトップ10に入った上場企業の平均株価の成長率は、世界の主要株価指数(S&P、独DAX、ダウ、FTSE)の平均成長率を214%上回っているのだ。この傾向は今年のトップ10にも当てはまる。
では、「米国」部門の2015年のシンプル度トップ10を詳しく見てみよう。どのブランドも、顧客ニーズを迅速に(ときには瞬時に)満たし、その際に生じる摩擦はきわめて少ない。
1.グーグル
2.ネットフリックス
3.パブリックス(スーパーマーケット)
4.アマゾン
5.チポトレ・メキシカン・グリル
6.ザッポス・ドットコム
7.ダンキンドーナツ
8.バーガーキング
9.KFC(ケンタッキーフライドチキン)
10.ピザハット
グーグルについては誰も驚かないだろう。過去5年連続でトップ10に入っている。ネットフリックスは、1クリックで即座に多彩なエンターテイメントの世界へとつなげてくれる。アマゾンとザッポスは、商品の発見、購入、配送を完璧に合理化している。
スーパーマーケットのパブリックスは、便利さ、優れた店舗デザイン、安定した品質、顧客サービスの重視といった点で、顧客と業界関係者から常に高く評価されている。
ファストフードおよびファストカジュアル・ダイニングのチポトレは、店内でのシンプル、迅速、確実な顧客体験を常に提供する点で他を圧している。その理由の1つは、選択肢は少ないが満足度の高いメニューにある(なお2015年10月のチポトレでの大腸菌感染事件は、今回の調査完了後に発生)。
こうしたブランドは、シンプル性によって数多くのメリットを享受している。顧客ロイヤルティの向上だけでなく、価格感応性(消費者が購買時に価格を気にすること)の低減、およびポジティブなクチコミの促進にもつながることが判明している。
今回の調査では、63%の消費者が、よりシンプルな体験に対してより多くの支払い意思を示した。そして、よりシンプルな体験を提供するブランドを他者に勧めたいと答えた消費者は69%に達した。