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センサーと接続機能を内蔵したスマート製品が、身近な生活シーンにも徐々に入り込んできた。つながるスマート製品は、私たちのライフスタイルをどう変えるのか。また、どのような顧客経験価値をもたらしてくれるのか。IoTやセンサー技術によって、スポーツの可能性を広げることに挑戦中のソニーUXプラットフォーム SE(スポーツ・エンターテインメント)事業室の二人のプランナー、中西吉洋氏と小池中人氏に伺った。
IoTとセンサーでテニスショットをその場で分析
――「スマートテニスセンサー」では、何ができるのですか。

中西 「スマートテニスセンサー」は、テニスのショットに関するデータを収集して、専用アプリをダウンロードしたスマートフォンやタブレット上で分析するスポーツ・デバイスです。データは、ラケットのグリップエンド部に取りつけたセンサーによって収集して、ブルートゥースでスマートフォンなどに飛ばします。ラケットのどの位置でボールをとらえたのか、ボールの回転数やスイング速度、ボール速度などがその場でわかります。アプリで動画の撮影もできます。撮影した動画をデータと同期させれば、映像つきの分析ができます。
なぜセンサーでここまでわかるのかというと、振動を拾っているからです。テニスをしたことがある人なら、ラケットの真ん中にボールが当たると気持ちいいという感覚を味わったことがあるでしょう。それに対して、端のほうに当たるとビリビリっとしたイヤな感触が伝わってきます。ボールが当たる位置によって振動が違うので、その振動を拾えば、ラケットのどこに、どのようにボールが当たっているのかがわかることになります。
――開発にあたって、技術的な課題はどこにありましたか。
中西 正しい振動を測れるセンサーの位置を探すことでした。そもそもオーディオ機器を開発するには、音の波形を解析する必要があります。「音」と「振動」はよく似ているので、「振動」の解析自体は、技術的に可能ではないかと考えていました。しかし、いくら技術があっても、正しい振動が測定できなければ分析できないわけです。 ラケットの縁など、さまざまな場所にセンサーを取りつけて実験した結果、グリップエンド部に取りつけるのが最適だとわかりました。「スマートテニスセンサー」の重量は約8グラムなので、プレーへの影響はほとんどありません。
――どんなユーザーが使っていますか。
中西 個人で利用することもできますが、多いのはサークルなど仲間内での利用ですね。練習を終えた後、分析画像を見ながらお酒でも飲めば、会話が盛り上がります。また、テニス・スクールでコーチが使えば説得力ある指導にもつながります。テニスに詳しくないのに部活の顧問になったという学校の先生からのニーズもあるようです。