門戸を開いていると
標榜はしていても……

 部下たちはおそらく貴重な情報をあなたに知らせていない。たとえば、見込み通りに進まなかったプロジェクトについて。態度の悪いマネジャーについて。あるいは、売上アップや業務改善の方法について意見があるのに、それを伝えていないかもしれない。我々の調査によれば、マネジャーとしてどれだけオープンな姿勢を心がけたとしても、部下の多くは仕事上の取り組みに疑問を投げかけたり、新しいアイデアを出したりするより、黙っている可能性のほうが高い。

 ほとんどのリーダーがそうであるらしいが、たとえ部下とのオープンなコミュニケーション(門戸開放)を方針に掲げていても、部下から情報が届かないというのは、よくあることだ(何年間も社員の「声」を調べ、企業や組織に助言してきたが、「門戸を閉ざすのが方針だ」と述べたマネジャーは聞いたことがない)。考えてみてほしい。ありのままの真実を教えてほしいと言っただけで、どれくらいの頻度で部下があなたのところへ来て、そうするだろうか。現実には、彼らは(正しかろうが正しくなかろうが)心配するはずだ。個人攻撃と受け取られるのではないか、無礼な知ったかぶり屋と思われるのではないか、と。

 リーダーは部下たちに自由に話してもらうため、意識調査や全スタッフのフィードバックセッションなど、さまざまな手段を講じる。こうした取り組みの多くは、組織全体のコミュニケーション向上を重視するものだ。しかし、その意図はよいものの、主に2つの理由から十分に機能しない。第1に、結果に対する恐れ(きまりが悪い、孤立する、評価が低くなる、昇進できない、はては解雇されるかもしれない)。第2に、徒労感(話したところで何も変わらないのだから、わざわざ言う必要はない)である。