コラボレーションの弊害を理解する

 コラボレーションが職場を席巻している。ビジネスのグローバル化と部門横断型の連携が進むにつれて、縦割りは崩れてきた。連結性が高まるとともに「組織の成功のカギはチームワークにあり」と見なされるようになった。我々がこの20年間で集めたデータによれば、マネジャーや従業員が何らかのコラボレーション活動に費やす時間は50%以上膨らんでいる。

 たしかにこれら一連の潮流には称賛すべき点も多い。ところが、貴重な経営資源がこれほど急激に消費されるようになると、少し立ち止まって考えるべきである。たとえば、あなたの組織における典型的な1週間を考えてみよう。従業員は会議への出席や電話対応、メールへの返信にどのくらい時間を費やしているだろうか。多くの企業では、勤務時間のおよそ8割を占めているという。従業員が各自で終わらせるべき重要な業務には、ほんのわずかな時間しか残されていないのだ。

 意見・助言の要請や他者からの接触、会議への出席予定がとめどなく押し寄せて、その波に飲み込まれれば、パフォーマンスが損なわれる。すると従業員は自宅に仕事を持ち帰るようになり、ほどなくして燃え尽き症候群や離職のリスクが顕在化する。そのことは、ストレスに関する膨大なデータで実証されている。