マネジメントの観点から
共感力が注目されている

 数年前、フォード・モーター・カンパニーは、妊婦になる疑似体験ができる「エンパシー(共感)・ベリー」という名称のシミュレータージャケットを、エンジニアたち(ほとんどが男性)に装着してもらう試みを始めた。

 これを装着すると、14キロほどの重量が加わり、背痛や膀胱の圧迫感など妊娠時の症状をじかに体験することができる。しかも、胎児がお腹を蹴る「動き」も感じられる。これは、妊婦が車の運転に際して直面する人間工学上の課題(手足の伸ばしづらさ、姿勢や重心の変化、体の動きの全般的なぎこちなさなど)を、エンジニアが理解できるようにするために発案された。

 こうした試みによりフォード車が改善され、顧客満足度が向上したかどうかははっきりしないが、エンジニアたちは疑似体験が役に立ったと主張している。