会計ソリューションの大手インテュイットは、イノベーションの推進に長けた企業として知られる。社内で起業家精神を根付かせる同社の取り組みを5つにまとめる。
ほとんどの企業は、社員の起業家的な態度・行動を支援していると主張する。しかし当の社員は、それほど納得していない。
調査結果はそれをよく物語っている。アクセンチュアの調査に答えた米企業の社員のうち、「自分のマネジャーは起業家的なアイデアを奨励している」とした人はわずか20%だった。別の調査では、成功した起業家の70%は、既存の企業に勤めている間に革新的なアイデアを練り上げ、その後、退職して独力で商業化していた。
企業が社内の起業家精神をしっかり支援できない理由は何か。インテュイット(会計ソフト大手)のシニア・バイスプレジデント、ビジャイ・アナンドによれば、それは熱意の欠如ではなく、単に組織の仕組みがそうできているからだという。「大きな組織はどうしても、既存の事業を運営して継続性を保つことに重点を置きます。それは必ずしも悪いことではありませんが、新しいやり方が生まれる余地は少ない」
彼の所見は私が見てきた事例にも合致する。私がアドバイスを提供する会社の多くは、社内起業家を育てるサポート体制の構築については、まだ初期段階にある。
企業は特に、2つのことを苦手とする。第1に、学習のため、ひいてはイノベーションのために必須であるリスクテイクをうまく後押しできない。第2に、社風と組織構造の壁がネックになり、社内起業家がアイデアを「所有」する意欲が妨げられる。たとえば、実験を行う時間が確保されていない。あるいは実験を進めるべきかの決定権は、アイデアの企画者ではなくマネジャーが握っている。
重要なのは、次の2点を兼ね備えた組織設計であると私は考える。すなわち、創造力を発揮させて勢いを生むための柔軟性と、社内起業家に道を踏み外させないための堅牢性だ。そして意外ではないが、それを極めているのがインテュイットであり、以下のようにさまざまな方法を用いている。