ブリッツスケールで失うもの、得られるもの

 リード・ホフマンは、シリコンバレーにいる“成熟した大人”の一人だ。ペイパルの創業に関与した後も歩みを止めず、2002年にはリンクトインを創業。これが結果的に、彼を億万長者にした。初期のフェイスブックへ資金拠出した人物でもあり、現在はベンチャーキャピタル「グレイロック・パートナーズ」のパートナーも務める。ホフマンには2冊の著書があり、一つはベン・カスノーカとの共著『スタートアップ!』(日経BP社、2012年)。もう1冊はカスノーカおよびクリス・イェとの共著『ALLIANCE アライアンス』(ダイヤモンド社、2015年)である。

 2015年の秋、ホフマンは母校のスタンフォード大学でコンピュータサイエンスの講座を始めた。ともに講師を務めるのはジョン・リリー(グレイロックのパートナーであり、元モジラCEO)、アレン・ブルー(リンクトインの共同創業者)、クリス・イェ(アライドタレントの共同創業者)。講座のタイトルは「技術が可能にした『ブリッツスケール』(電撃的拡大)」である。このインタビューでホフマンは、ハーバード・ビジネス・レビュー・プレスの編集長ティム・サリバンを相手に、「ブリッツスケール」の難しさとリスク、そしてその見返りについて語った。

HBR(以下色文字):基本から始めましょう。「ブリッツスケール」とは何ですか。

ホフマン(以下略):真に劇的な急成長が必要な時に取る手段です。大規模な、そして通常は世界規模の市場に製品・サービスを提供することを目的に、短時間で企業を築き上げるための理論と実践がブリッツスケールです。その最終目的は、一定規模を持つ、その世界の先駆者となることです。