サマリー：顧客や資金などの好条件を備え、高成長するスタートアップ企業が、ある段階から失速してしまうケースをしばしば目にする。スケール（規模拡大）に対応できないのだ。主因は、成熟企業へ脱皮するための適切なフレーム... もっと見るワークを持っていないことにある。そこで本稿では、そのための4つの取り組みを提示する。すなわち、各職能の専門家を雇い、マネジメント体制を築き、プランニング能力を培い、企業文化を全従業員に訴求するというものである。この実践により、持続的な成長の可能性がぐっと高くなるはずである。 閉じる
顧客、資金、有望な前途など、あらゆる好条件が揃っていそうなスタートアップ企業が次々と異変を来すのは、なぜか。ベンチャーキャピタリストに尋ねると、おそらく「スケール（規模拡大）にうまく対応できないのだ」という答えが返ってくるだろう。
どういう意味だろうか。彼らはたいてい、「プロフェッショナルな組織への脱皮」や「経験豊富な人材の採用」が必要なのだと説明する。しかし、その程度の単純な対応では不十分であり、本来はもっと大きな変革が必要とされる。
最近はスタートアップ企業の成長があまりに速いため、失敗に気づいてからでは軌道修正が難しい。スケールにうまく対処する方法をあらかじめ頭に入れておくと、見通しが明るくなるだろう。
リーンスタートアップに戦略を融合させる
シリコンバレーの起業家、エリック・リースが提唱したリーンスタートアップは、コストを極力抑えながら短いサイクルで実験を繰り返し、成功する事業へと進化させていくアプローチであり、変化に合わせてスピードが求... もっと見るめられるベンチャーの世界に適している。そうした環境では、体系的で緻密な戦略を立案し着実に実行する従来の手法は馴染まないとされるが、実際には戦略がなければ新規事業は迷走し、無駄も多くなる。本稿では、規模を問わず、どの企業にも導入可能な「リーン戦略プロセス」を紹介し、硬直的な計画と野放図な実験という弊害を防ぎながら、戦略と起業家精神をうまく融合し活用するポイントを解説する。 閉じる
