『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』の創刊40周年記念号では、将来の活躍が期待できる40歳未満の20人の経営者を選出した。この選出プロセスのなかで最も重要だったのが、8月29日に開催された選出委員会であった。その場の議論は、まさに選出委員である経営者たちの凄味を実感する場であった。
多様な人が集まって2時間で決める会議
最新号の「創刊40周年記念号」では、「未来をつくるU-40 経営者」と題し20人の経営者を紹介した。この選出プロセスは本誌でも詳細に紹介したが、8月29日に開催された「選出委員会」で最終決定された。この会議の様子は先日もウェブでレポート記事を出したが、参加者として僕も紹介したい。
時間は2時間、9名の委員による話し合いで決めたのだが、その議論は、私にとってこれまでのどの会議にも勝る「叡智を結集する」経験となった。
そもそも、この選出は「将来に期待できるポテンシャル」を軸にしており、数値データで頼ることができない。そこで、選出委員会を設立することにした。メンバーには、①選出側として読者、選ばれた人が納得する人、②経営者ならびに経営に造詣の深い人、③編集部としてその人の価値観や実績にリスペクトできる方、④多様な方々、という4つの軸で依頼し私を含め10名の方々に就任していただいた。
僕自身、委員として加わるかどうかは迷った。これらの方々を人選した時点で編集部としての意思は表明したようなものである。しかし、このような選出には批判も覚悟しており、それを「外部の選出委員の方々にお願いした」という見せ方ではずるいのではと考え、委員に名前を出すことにした。
8月29日の当日は、御一人が海外出張のため欠席されたが、他のすべての委員が揃った。進行役を担う上でこの日は相当緊張していた。何せ、これだけの方々の意見を集約することができるだろうか。意見が異なった場合、自分がそれを収集できるだろうか。委員の方々には「名前を貸してほしいのではなく、真剣に議論してもらいたい」と依頼していたのだ。
この会議の前までにすでに8名を選出。残り12人を52人の候補者から選出するのが、この会議の目的だったが、事前に各委員に推薦する5人を提出してもらった。その面々は実に多様でほとんど重なりがない。事前のアンケートでは31人の候補者が残っていた。