ソーシャルメディアが人との多様な出会いや人間関係の構築に寄与してきたことで、転職や採用活動にも大きな力を発揮してきた。その一方で、本当に「気の合う人」との出会いは、まだまだ実現されていないのではないか。
人はどんな人と一緒に働きたいか
仕事でもプライベートでも人とのつながりは、重要です。どんな人と出会うかほど、人生や仕事を変えるものはありません。
仕事において、意味ある人とのつながりは、次の3つの要素で分析できそうです。
①人間性
②専門性
③相性
人間性とは、誠実さややさしさ、責任感やリーダーシップなど、仕事の専門スキルに関わらず、一緒に働く人に誰もが求める要素です。このような人間性は定量化しづらいですが、ソーシャルメディアの発達でこのような資質をもった人と出会う確率は数段増したような気がします。
それは、信頼の情報が流通されるようになったからです。人を紹介される際に、よく「リファレンスを取る」と言う言い方をします。自分の知人の中でその人を知る人を見つけて評判を聞くことで、本人が評価する自分と周囲が評価するその人のギャップを埋めることに役立ちます。
さらに、「信頼する人とつながっている人は信頼できる」というような法則で、誰と誰が繋がっているかは大きな信頼情報になりますし、アマゾンやエアビーアンドビーのような「レビュー」の仕組みは、信頼が評価される社会を加速します。
②の専門性は、財務の知識、プログラミングの知識、プロジェクト管理の知識など、いわゆる労働市場で従来からもっとも評価しやすい要素です。ここにも、ソーシャルメディアの力は作用しており、従来は「経験からスキルを推定する」ことしかできなかったことを、いまでは「一緒に働いた人の情報」が加わることで、経験を超えたその人の専門性のポテンシャルが浮き彫りになりつつあります。
問題は3つ目の「相性」です。プロフェッショナルなら仕事相手に相性を求めないという意見もあります。確かに、相性を持ち出すと仕事の幅は狭まりますので、プロフェッショナルとは相性の壁を超えて、必要な他者とパートナーを組む力も当然必要です。また仕事の目標に集中することで、相性の壁は容易に超えられる。これは経験された方も多いと思います。
一方で、ライフワークとして取り組む仕事やとことん相手と向き合わなければ達成できない仕事などのパートナーとは「相性」の問題は大きな課題となります。