前任者のチームを引き継いで変革する法

 デイビッド・ベネット(仮名)は、大手医療機器会社で成長頭の事業部を任された際、解決すべき課題に直面した。前年に2つの新製品を発売したのを機に、売上高は増加していたが、いまだ期待の数字には届いていなかった。それもそのはず、顧客ニーズを満たしていないことをあらゆるデータや情報が示していた。2つの新製品とは、動脈塞栓にステントを挿入するインターベンショナル治療器具と、心臓の調律を安定させるための電子インプラントであり、この両方の売れ行きに会社の命運がかかっていた。

 つまり、長い目で見た場合に背負うものは大きかったにもかかわらず、チームは必ずしも好調とはいえなかった。事業機会をつかみ取れず、雰囲気もよくないようだ、といった話は上層部にも伝わっていた。

 これらの状況を受けて、事業部のエグゼクティブバイスプレジデントを更迭して社外から後任を選ぶことになり、適任者としてデイビッドに白羽の矢が立った。彼は競合他社で輝かしい実績を上げていた。ある事業部をV字回復へと導き、別の事業部では成長を加速させたのだった。