世間を驚かせるデジタルアートを次々と発表する、「ウルトラテクノロジスト集団」のチームラボ。その斬新な作品のみならず、400人規模の組織になったいまでも取締役以外の役職を置かないなど、同社のフラットなマネジメント体制は注目を浴びる。創業以来、代表は猪子寿之氏が務めるが、組織に携わる意思決定の責任者は取締役の堺大輔氏が担ってきた。究極の個性派集団でメンバー一人ひとりの力を最大限に引き出し、それによって最高のクオリティを追求する、チームラボのマネジメントが明かされる。

一人ひとりが得意なことをやればいい

 チームラボは、2001年、東京大学と東京工業大学の大学院生・学部生の5人で始めた学生ベンチャーだった。それぞれが友人の友人という薄いつながりで集まった5人ではあったが、不思議と意気投合した。そして、現在も代表を務める猪子寿之が「卒業後もこのメンバーと一緒にモノづくりをしたい」と言い出したことで、会社組織をつくることになる。

 チームラボの顔は猪子である。ただ、彼は組織のマネジメントを得意とするタイプではない。メンバーも猪子にその役割を求めようとはしなかった。5人の得意分野が異なっていたため、お互いをリスペクトし合い、得意なことを得意な人に任せる不文律ができていたからである。