バランスのよいポートフォリオを目指す

 経営者たち、そしてウォール街は知っている。企業の生き残りを左右するのは、イノベーションを推進するケイパビリティであることを。現在の市場予測、グローバルな競争圧力、そして構造変化の規模と速度を考慮すれば、このことはこれまで以上に確かな事実である。

 しかし、経営陣にとって、新しい製品やサービスを次々に成功させる経営手腕をウォール街に認めさせることは至難の業である。

 多くの経営者は、不安と焦燥にかられている。彼らは、膨大な数のイノベーションが自社で進行していることは承知していても、散在するイニシアティブすべてを把握しているとは感じていない。新しいものを追求することは行き当たりばったりの気まぐれに思え、自社のイノベーションROI(投資に対する利益率)は低すぎるのではないかとの疑念を抱いている。