絵画の巨匠パブロ・ピカソは「優れた芸術家は真似る。偉大な芸術家は盗む」と言った。画期的、独創的といわれる製品やサービスであっても、その誕生過程には模倣のプロセスがあるものだ。模倣というと「猿真似」と揶揄されるように、独自性から最もかけ離れた言葉のように感じられる。しかし、その一方で、古来、「学ぶ」の語源は「真似ぶ」にあるとして、模倣は創造の母であるともいわれる。創造性から最もかけ離れているようで、模倣は創造とは逆を行くものではない。イノベーションの代表的企業といわれるアップルも、模倣を大切にしてきた企業の一つである。本稿では、ニトリ、ワールド、ポイントの事例から、模倣からイノベーションを生み出す手法を紹介する。