1.自分のよい面を探す
改善の見込みが最も高い策は、自分の弱みを克服することだと思われがちだが、強みを活かすことも重要だ。ギャラップによれば、強みを日々発揮する人は仕事への意欲が6倍高く、強みを重視したチームは生産性が12.5%高いという。
自分が何を誤ったのかだけを尋ねるのではなく、肯定的なフィードバックも求めよう。「私のプレゼンの、どんなところが気に入りましたか」「このプレゼン資料の中で、あなたの役に立ったのはどの箇所でしたか」などと尋ねるとよい。
2.肯定的な意見に耳を傾け、受け入れる
私のクライアントの多くは、肯定的なフィードバックも求めるが、いざメモを取り始めるのは批判的な部分に入ってからだ。よい点も書き留めれば、今後も反復すべき部分がわかる。そしてフィードバック提供者に対し、よい点への言及も要改善点と同等に重要だという合図を送ることにもなる。
3.肯定的な面を掘り下げ、理解する
あえて称賛に身を委ねて、その意味を深く考える。最近受けた賛辞について考えてみよう。そのとき、あなたはどう応じただろう?「運がよかっただけだよ」などと、何か他の要因のせいにしただろうか。「たくさん助けていただいたからです」と卑下して、よい面を最小化してはいないだろうか。せいぜいのところ、「ありがとうございます」で済ませたことだろう。
対照的に、批判的なコメントを受けた場合は、どう応じるだろうか。質問をして、具体例を求めさえするはずだ。称賛を受けたときも、自分の優れた部分に関する具体例を収集する機会にすべきである。たとえばこんな具合だ。「私のワークショップがお役に立ててよかったです。特に有益だったのは、どこでしたか。学びに役立ったのはどの部分でしょうか」
4.肯定的な意見を信じ、それが事実であるかのように行動する
上記3つのステップを何とか実践できたとしても、自分に関する他者の意見を信じるのがどうしても難しい場合もあるかもしれない。もしかすると、フィードバックをくれた相手の魂胆を怪しんでいるのかもしれない。しかしそうせずに、相手の意見が実際に真実である可能性を信じるべきである。
私が「ジャリルの声」と称しているものを自分の中に培えば、人を信じることが容易になる。ジャリルは私の人生で初めて、励ましの言葉で私を助け、命まで救ってくれた人物だ(英語動画。9歳の頃に自殺を考えた筆者を、励ましの言葉で救った)。心からあなたのためを思ってくれる人、必ず本音を語ってくれる人を見つけよう。その人たちの声を何度も繰り返して聞けば、よい面にもっと目が向くようになり、その声を内在化できるのだ。
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こうしてラジーブは、頭の中に肯定的な声を取り込む方法を習得した。すると仕事がより生産的になったばかりでなく、他者に向ける彼自身の言葉のトーンをいっそう意識するようになった。頭の中の批判的な声が治まったとき、自分が何をどう言えば同僚たちにとって肯定的な声になるのかを自覚したのだ。これが功を奏して、一部の同僚は自身の悲観的思考から解放されて生産性を高め、好循環が生まれた。
5対1の割合を目指すことを、毎日の習慣にしてみよう。頭の中で響かせる肯定的な声と批判的な声の数を、毎日正確に数え続けることは無理かもしれない。だが、ひとたび肯定的なコメントを蓄積し始めれば、自身の活力とアウトプットに違いが生じることに気づくはずだ。タンクがいっぱいになれば、もっと容易に善意を次の人に伝え継ぎ、自分が他者にとっての肯定的な声になれるのである。
HBR.ORG原文:Silence the Critical Voices in Your Head, December 05, 2016.