AIの旺盛な学習意欲は、人間ならではの資質である「好奇心」をも凌駕し始めている。まだ人間に分があるのは、好奇心の広さと強さのようだ。
好奇心は、現代の職場における最も重要な能力の1つとして評価されている。たとえば、好奇心は人々の「雇用される力」を高めることが示されている。また、好奇心の強い国々ほど、より高度な経済的・政治的自由を享受し、GDPも高い。
したがって、将来の仕事のあり方が予測しにくくなるにつれ、ますます多くの組織が、個人の「すでに持っている知識」ではなく「何を学べるか」に基づいて採用するようになっても驚くに値しない。
もちろん、人々のキャリアは学歴にいまだ大きく左右される。だが、学歴も(少なくとも部分的には)好奇心の賜物だ。どんなスキルも最低限の興味関心がなければ習得できないので、好奇心は才能の重要な基盤の1つと考えられる。アルバート・アインシュタインも、「私には特別な才能はない。強烈な好奇心があるだけだ」という名言を残している。
仕事の自動化が進むにつれて、好奇心は人々のキャリアにとってますます重要となる。2017年の世界経済フォーラムにおいて、マンパワーグループは、次のように予見した。学習可能性(learnability)、つまり「職業人生を通じて雇用される力を維持するために、みずからのスキル群を変化に適応させようという欲求」こそが、自動化への重要な対抗手段であるという。スキルアップと新たな専門知識習得の意欲と能力がある人は、自動化されにくいということだ。別の言葉で言えば、習得するスキルと能力の幅が広いほど、職場で有意義な存在であり続けることができる。
逆に、みずからのパフォーマンスを最適化することにばかり注力していると、仕事はやがて反復的で標準化された作業で成り立つようになり、それらは機械のほうが巧みに実行できるかもしれない。
だが、AIが好奇心を持てたら、どうなるだろうか。