エコシステムを形成し
届けるべき人に届ける
本書はこうしたことを知覚心理学や生物学などの知見から簡潔に説明し、世界観を伝播する新たな方法・仕組みとして、SNSがどう関わるかを論じていく。個々人がスマートフォンをもち、フェイスブックやLINE、ツイッターで情報や考えを受発信する中で、世界観をどう伝えて、ブランドを確立するかが、ビジネスにおける成功のポイントになる。
今日においては、個人と個人がインタレスト(興味)を発信し合い、共感を持った人同士で、エコシステムを形成する。この環境を、いかにブランド展開に生かしていくかを本書は詳述していく。
具体的には、「①売る前に、エコシステムを作る。そのことを意識する。②どんな共感や喜びを循環させるのかイメージする。③それを果たす力をもった商品を開発する。④その商品をエコシステムにそっと置く。⑤自然に広がり、届くべき人の元に届いていく」という新しい時代の「売れる流れ」を、具体的な事例をもとに解説している。
例えば、アウトドア商品のブランド企業であるスノーピークは、「つかの間、人の心に野生を取り戻す」という世界観を打ち出し、ユーザーのコミュニティというエコシステムを作り、その中で彼らの共感を循環させている。また、本社が立地する新潟県燕三条では、スノーピークの製品を開発製造する金属加工企業のエコシステムをユーザーのそれとは別に形成し、そこでもまた、共感を循環している。エコシステムの形成と共感の循環が、今日のブランド戦略の要諦である。