多くの経営者が、クリステンセンが20年前に示した「イノベーションのジレンマ」の内容をよく理解し、その対策を実践してもいる。にもかかわらず、目立った成果が上がらないのはなぜだろうか。その理由は、警戒すべき脅威そのものに変化が生じたからだと筆者は指摘する。


 私たちスタンフォード大学ビジネススクールの教職員は毎冬、世界の最大手企業数社からCEOを招き、講義に参加してもらっている。夜のひととき、彼らはデジタルによる破壊的変化がもたらす課題について、教職員および世界で最も優秀な部類に入るMBA学生たちと議論する。

 招待されたCEOは総じて、2つの現実を認識している。第一に、デジタルによる破壊は彼らの産業を何らかの形で変えていくこと。第二に、そうした変化を積極的に受け入れる方法を見出さなければならないことだ。