最新号の特集「テクノロジーは戦略をどう変えるか」では、ハーバード大学教授のマイケル・ポーター氏、米『Wired』元編集長のクリス・アンダーソン氏、MIT教授のエリック・ブリニョルフソン氏の3人のビジョナリーが論文を発表しています。技術革新が新たな価値を創造し、アウトプットを増大させる「新・産業革命」が起きつつあると見通しています。
製造業に競争優位を持つ日本企業に
重要なフレームワーク
最新号は、ハーバード大学のマイケル・ポーター教授らの論文をもとにした“音が出て、飛び出す表紙&論文”です。本誌に記載しましたアプリケーションをスマホなどにダウンロードして活用すると(無料)、表紙とポーター教授の論文で、AR(拡張現実)をご体感いただけます。下記がその紹介動画です。
ところで、当編集部では11月20日にフォーラムを開催し、基調講演をミスミグループ本社取締役会議長の三枝匡氏にお願い致しました。
私にとって最も印象深かった点は、「戦後の高度経済成長期に高収益を実現した日本企業が1990年代以降に競争力を失った原因の一つは、米国の経営学者やコンサルタントが日本企業を研究し、その強みをフレームワーク化して、米国企業や新興国企業が学んで活用したから」ということです。
本誌の役割は、こうした意義のあるフレームワーク(理論や考え方など)の提供にあると考えています。その意味で最新号は、いつも以上に充実した論考がラインアップできました。
なかでも、米『Wired』元編集長のクリス・アンダーソン氏のドローン・エコノミー論が衝撃です。
彼は、「データ取得革命」としてドローン・エコノミーを分析します。IoT(モノのインターネット)論の延長論ともいえますが、近々、ドローンの自動運転技術が確立されれば、安価で、正確に、毎日の状況が把握でき、問題が発見されるとドローンがその場で、人を危険にさらすことなく、対処するようになると予測します。
アンダーソン氏が過去に提示してきたフレームワークの適格性とその後の社会の変化を振り返ると、革命という言葉が大げさではないと思えます。
そのフレームワークとは、著書タイトルで言えば、『ロングテール』『フリー』『MAKERS』です。前者2つは、アマゾンやYouTube、Airbnb、ウーバー・テクノロジーズのように、身近なビッグビジネスとして具現化していますが、3つ目はまだまだです。
それは「モノのロングテール」や「新産業革命」などがキーワードであるように、「リアルな製造業」での革命です。物理的変化を伴うものであり、社会に浸透するまでに時間がかかると見られます。
生産性の公式(アウトプット/インプット)で言えば、アウトプットの増大という変化です。MAKERSとドローン・エコノミーというフレームワークは、製造業に競争優位を持ってきた日本や日本企業には特に重要です。