BCGの経営理論を活用し
ユニークな視点を提示
また、「AI」「ブロックチェーン」「デジタル・マーケティング」など、最新テクノロジー関連の要点をつかみ、実際のビジネスでの活用で何がポイントとなるかも整理されている。
ただし、評者にとって最も腑に落ちる項目は、「世界で進む少子高齢化」市場の中で、どのような競争戦略をとればいいか、という下りである。BCGが考案したプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)を使って、成熟・衰退市場で高収益企業となる方法を説いているのだ。
その項目では、人口ボーナスの考え方を世界経済に適用したり、一人当たりGDPと出生率の関係から米国の特異性を指摘したりなど、ユニークな視点が示されている。
同様に、プライシングの観点から、企業経営にとっての値上げの効用を指摘して、日本企業の中での成功例を紹介している。その一方で、インターネットやデジタル・マーケティング、生産委託という新たな経済環境が、規模による優位性を薄れさせている現実を指摘している。
経営理論を活用して、現実世界を切って見せる手際の良さは、良い意味でコンサルティングファームらしい著作物と言える。
年末年始の休日を利用して、いま世の中で起きている経営についての変化を把握し、それへの対処策を考えようと計画している読者諸氏に最適な1冊である。