競争と監視にさらされていない企業の経営者は、ただ平穏を望み、事なかれ主義に走る――。この説を裏付ける興味深い論文が、日本の研究者によって発表された。筆者らによると、市場からの適度な圧力がない企業は、設備投資やR&Dが少ないことが判明したという。


 競争の激しい市場では、経営者は最善の努力を尽くそうという動機を強く持つ。

 一方、経済学者らは長きにわたり、こう主張してきた。企業は競争がない状態に置かれると、その経営者は自社の利益を最大化する動機がなくなり、代わりに「平穏な生活(quiet life)」を享受したがる可能性があるという。