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事業転換は期待値で考える
編集部(以下色文字):企業が持続的な成長を実現するには、過去の成功体験を疑いながら、未来への投資を続けなければなりません。藤田さんはそれを実践されてきたように思いますが、まず、サイバーエージェントが迎えた代表的な転換点について教えてください。
藤田(以下略):私たちにとって、転換点といえる経験は創業から3度ありました。1つ目は、2004年にB2Bの広告代理業からB2Cのメディア事業へと転換を果たしたこと。2つ目は、2011年にPCやフィーチャーフォンからスマートフォンを中心とした事業に舵を切ったこと。3つ目は、2016年から始めたインターネットテレビ局のAbema(アベマ)TVという動画事業です。すべてに共通していえることですが、どれも会社をより大きくするための決断です。
その中で最も難しかったのは1つ目の転換、B2BからB2Cにビジネスモデルを移行させ、Ameba(アメーバ)を立ち上げた時でした。創業以来、インターネットの広告事業は予想以上に伸びていましたが、ある時点から、特に粗利益率の面で、B2Bの広告ビジネスだけでは、いずれ限界を迎えると感じていました。広告代理業や制作請負業の粗利は低く、得られる利益に限りがあるためです。同じ頃、私たちが上場したインターネットバブルの時代はメディア企業が急成長していた時でもあり、売上げが拡大する一方でコストは一定に抑えられる収穫逓増モデルが注目を浴び、実際にヤフーや楽天の株価が上がっていました。